先生の声

先生の声

 産声は、赤ちゃんがお母さんや家族に送る「生まれてきたよ!」という"初めてのメッセージ"です。
みんなに自分の存在を分かって欲しいから、力いっぱい泣きます。だから、部屋の外で待っている家族にもその声は届きます。この時、お母さんは五感をフルに使って、新しい命が生まれたことを感じます。味覚はないかもしれませんが、視覚・触覚・聴覚・臭覚のすべてに伝わります。
お母さんの心に浮かぶのは、「元気に生まれてきてくれて良かった」の一言だけです。この瞬間の安堵感と充実感を、お父さんは決して味わうことができません。
その日から、子供は刻々成長し行きます。子供が大きくなるにつれて、親の心の中にはたくさんの期待が生まれてきます。こうなって欲しい、ああなって欲しい、親が子供にたくす夢です。親の期待は子供にとって"後押し"になることもありますが、"重荷"になることもあります。親自身にもそれが大きなプレッシャーになり、子育てに迷ったり、子育てがつらくなったりする時期があります。そんな時、どうしたら良いのでしょうか?道に迷ったら、最初に戻れば良いのです。すべての分野において、初心に帰ることの大切さが説かれています。それはなぜでしょうか。初心とは知識も経験も少ない時期の自分の気持ちや考えですから、自分自身の人間的中心に最も近いからです。では、その初心にはどのようにして立ち返ることができるでしょうか。もう一度、赤ちゃんの時の産声を聞いてみましょう。
赤ちゃんが生まれた時に心に浮かんだ「元気に生まれてきてくれて良かった」というお母さんの初心を、赤ちゃんの産声は思い出させてくれます。音は聴覚に限定されている分、写真やビデオ以上に想像力を巡らせやすいものです。ラジオだけの時代の方が、今のテレビ時代より、想像力が豊かでした。産声をもう一度聞いて、「元気に生まれてきてくれて良かった」というお母さんの初心に立ち戻り、再スタートすれば、きっと自然と霧が晴れ、道が見えてくるでしょう。

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『産声を聞いて、お母さんの初心に帰ろう!』
太郎田小児科医院 多賀千之(たがかずゆき)先生


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